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  事務所通信・増刊号 総集編

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平成21年4月1日

事務所通信・増刊号

【日本語の不確実性と、一人歩き】

【障害者グループホームでは、家賃と食費を「お預かり」しています。??】

 上品なお店で、お買い物をして代金をお支払いすると、店員は「お預かりします。」と言って受け取ります。やや理屈っぽい話ですが、この「預る」と言う意味は、「本来は領収書と引き換えに代金を頂くところですが、ただ今は、一旦、私がお預かりして、お店の帳場にお届けし領収書を作成させて、領収書をお持ちいたします。」といったところだと思います。決して、「このお金は、預かったものですから、将来お返ししなければならない性質のものです。」という意味ではないはずです。

「預ったものは、できるだけ早くお返ししなければならない。」ことは、小学生に教えなければならない道理ですが、うっかりすると、日本語には不確実なところがあり、言葉の意味が一人歩きして、本来と違う意味になってしまうことがあるので要注意です。

 障害者のお世話をしているグループホーム・ケアホームは、大変重要な社会福祉事業です。「障害者を施設から地域へ」を実現するほかに、健常者全員(社会)による障害者との共同生活の実現によって、健常者(障害者のご家族)の生き生きとした生活の実現、健常者(特に若者)の労働意欲の意義づけ(社会福祉活動を日常の中で目にすることによって、自分のためだけでなく障害者のためにも労働しなければならないことに気付く。)などに役立ち、日本社会の精神的な正常な発展と、ひいては、経済的にも今日の閉塞感からの脱却、正常な発展に大きく寄与できると確信していいのではないでしょうか。社会福祉法人はもっと積極的にこの事業の経営に取り組むようになっていくのではないでしょうか?

 ところで、このグループホーム・ケアホームの経営において、利用者からいただく、家賃・食費・共益費等の金額の設定と、その取扱いについて、現場で混乱が生じているようです。

 例えば、

① 利用者からいただく、家賃・食費・共益費等は、いずれも利用者からの預り金だから、法人の収入(収益)には計上しないし、八百屋、魚屋等への仕入支払いも支出(経費)に計上しないで、精算後の残金を利用者にお返ししている例。

② 収入(収益)・支出(経費)を計上しているが、清算し、2つは同額になっている例。

という具合です。

 

 問題点を列挙してみると、以下のとおりです。

(1)いずれの場合も、利用者が利用を始める際には、約束事を取り決めた契約書を法人と取り交わしていますが、契約書を見る限り、家賃・食費・共益費等について清算することは謳われていません。事前届出で欠食した場合は、その分の食費は徴収すべきでないことは当然ですが、全体について原価で清算するとなると現場の職員の清算のための作業(計算)は、大変な負担になります。契約書で清算すべきことを謳うことは可能でしょうが、現状ではそのような契約書はないと思いますし、清算すべきとする契約書は作成すべきではないように思います。契約書が清算することになっていない以上、職員が清算して、残金を利用者にお返しすることは、職員が法人に損害を被らせたと、されかねない問題も生じるように思います。

(2)不動産業(貸家業)や、飲食店(食堂)を経営しているわけではありませんので、利益を計上すればいいというものではありませんが、適正な価格設定というものがあります。

   この場合(社会福祉事業・グループホーム等)の適正価格とはどのようなものでしょうか?

例えば、法人が家主に家賃月8万円を払って建物を借り上げ、法人がグループホームとして利用者4人に利用してもらい、契約に基づき利用者1人から家賃月3万円・4人計12万円を徴収している時に、適正家賃は1人月2万円(8万円÷4人=2万円)でしょうか?家主に支払う家賃が月4万円だったらどうでしょうか?法人が寄附を受けた建物で、法人が支払う家賃が0円だったらどうでしょうか?

 家主に支払う家賃は、ほとんどの場合家主の社会福祉に対するご好意から、通常よりも低く抑えられているのではないでしょうか?その家主のご好意は、その建物にその時に入居している利用者(障害者)個人に対するものでしょうか?そうではないはずです。特定の入居者に利益を供与するための好意(寄附)は、社会福祉事業としては許されません。

   つまり、適正価格は、家主に支払う家賃で決まるのではないといえると思いますがいかがでしょうか?

(3)利用者からいただく、家賃・食費・共益費等は清算すべきだという考えは、何故、生じたのでしょうか。これは、推測ですが、グループホーム等に従事する職員の人件費は、自立支援費等収入(訓練等給付費収入・介護給付費収入)によって賄われるので、利用者からいただく家賃・食費・共益費等は、おそらく原価相当額だけだろう。と思い込んだのではないでしょうか?もちろん、法人の利益を追求してはいけないのですが、その時点の利用者の利益だけを追求してはいけないと思います。仮に、適正家賃が、家主に支払う家賃をオーバーして、資金が法人に残った場合は、その資金はその時点の利用者に還元するのではなく、法人の社会福祉事業に活用(例えば、グループホームの家屋の修繕や、新たな、グループホームの家屋の準備資金等)すべきであり、そうすることが家主(実質的な寄附者)の意思に適うことだと思うのです。適正家賃かどうかは、事業計画書・予算書・決算書によって、理事者・監事・評議員によってチェックされることになります。もちろん、人件費は含まない金額である必要があります。

(4)前記②については、社会福祉法人会計基準には総額主義(同基準第5条(総額表示))がありますので、収入・支出が同額だから相殺していずれも計上しなくて良いということにはなりません。また、共同生活介護(ケアホーム)・共同生活援助(グループホーム)において、利用者から徴収する食材料費・家賃・高熱水費・日用品費・教養娯楽費等の特定費用は、自立支援費収入の利用者負担金収入の特定費用等収入に計上することになります(TKC出版「社会福祉法人の会計と税務」213頁・215頁)。一方、原価に該当する家主に対する家賃・食材料費の支払い等は、事業費支出の賃借料・給食費・水道光熱費等に計上することになります(TKC出版「社会福祉法人の会計と税務」306頁・297頁・310頁等)。

   ついでに確認するなら、利用者から徴収した資金は現金で保管しないで、法人の普通預金に入金する必要がありますが、決して、他の資金と区別して、別個の預金口座を開設しなければならないという制約はありません。その資金の使途は、前記の事業費支出の賃借料・給食費・水道光熱費に充てるほか、他の資金と混在して事業の運営に充てられることになります。もちろん、将来の、建物の修繕費用の資金に積立てようとする場合は、理事会の承認を頂いて、予算に計上し、修繕積立金に計上し、修繕積立預金として資金を別管理することも可能です。資金を他の事業に活用しようとする場合は、他の資金と同様に様々な制約がある場合がありますので、「資金の貸付け(繰替使用)の制限」、「資金の繰入れの制限」(TKC出版「社会福祉法人の会計と税務」412頁・421頁)に留意する必要があります。

(5)今後は、社会福祉事業(社会福祉法人)といえども、適正な収益を計上しない限り、事業の維持継続は困難になります。これは、全社協発行「社会福祉法人経営の現状と課題」の第Ⅳ章「新たな時代における福祉経営の基本的方向性」の中に記載されている、「法人単位の経営」「「施設管理」から「法人経営」へ」「ガバナンスの確立・経営能力の向上」からも明らかなことです。

また、現在の利用者(障害者)に対する奉仕はもちろん大切ですが、それだけにとらわれずに、大局的に、社会福祉法人として法人が持っている理念に照らし合わせて合致しているかどうかを検討したり、法令・通知・基準・契約書等に合致しているかどうかの検討を怠らないことは、非常に、大切のようです。

 

  上記の「グループホームの家賃と食費」に関連して、

    「グループホーム等における利用者負担額の取扱いほ法令・通知について」

  このホームページに収録しましたので、ここをクリックしてご覧ください。

 

 

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平成21年2月1日

事務所通信・増刊号

 

【不動産取引は慎重に(聞きかじり情報は厳禁)】

【事例の概要】

ある法人甲(代表者Aさん)が、知人Bさんから、Bさん所有の建物を使用させていただくことになりました。

その際の条件として、建物にはBさんが乙銀行から借入した際の抵当権が設定されているので、その抵当権を解除してくれれば、というものでした。

法人甲は、丙銀行から借入(担保:保証人Aさん)しました。

その資金でBさんの乙銀行からの借入金は完済になり、乙銀行の抵当権は抹消になりました。

そして、いざ、法人甲がその建物を使用しようとしたところ、建物には以前から入居者Cさんがいて、立ち退いてくれないため、法人甲は、建物を使用できないことになりました。

建物に入居者Cさんがいることは、当初から、AさんはBさんから聞いて知っていたのですが、Bさんは、「話せばすぐ出て行ってくれるので、何も問題はない。」と話していたので、AさんはBさんを信用していました。

法人甲は、丙銀行からの借入金返済が滞り、返済のめどが立たなくなりました。そして、自己破産を裁判所に申し立てました。

 

【倒産の原因】

法人倒産の原因には、取引先倒産の連鎖倒産、過大設備投資、放漫経営等、色々ありますが、このケースがどれに当てはまるのでしょうか?もっともこの倒産原因は、ほとんどの場合、部外者のかってな評価によるものですので、あまり参考になりません。

 

【経営】

ところで、法人甲はこの建物を必要としていた。法人甲の丙銀行からの借入金の返済は、建物を使用して得る収益から十分に、返済していくことができる金額だった。とすると、何が問題だったのでしょうか?

法人甲の事業の経営という観点(法人の内部の問題)から倒産の原因を考えてみたいのですが、「AさんはBさんを信用していた。」ので入居者Cさんについてよく確かめなかった、というところに問題はないでしょうか?

入居者Cさんについて、「話せばすぐ出て行ってくれるので、何も問題はない。」という、Bさんの説明に問題があったかどうかは、対外部の問題ですから、ここでは取り上げませんが、AさんにとってBさんが信用できるかどうかは、もちろん大切です。しかし、信用できると思ったとしても、不動産等の取引においては、金額が高額なだけに、もっと慎重に、買い手は物件を自分の足と手と耳で確かめる必要があります。

ここで、気になるのが、「聞きかじり情報で経営してはいけない。」ということです。

「○○さんがこう言ったから。」「銀行がこう言ったから」「行政がこう言ったから。」「税理士がこう言ったから。」・・・。経営の大切な判断の場面で、その判断の根拠が「聞きかじり情報」だけだったりすることが多いような気がします。現代は、情報が氾濫していますので、誰かの言っていることを鵜呑みにすることは、とっても手間が省けるし、責任が自分にないような感覚にしてくれますが、これではいけません。経営を放棄しているようなものです。

日頃から、「聞きかじり情報」に頼らない経営に心掛け、いざという時にその基本動作を、当然として励行できる体質を養成する必要性を強く感じます。

 

【追伸】(法人甲の倒産・法人甲の丙銀行に対する債務と理事の関係)

法人甲の倒産=甲の営む事業の業界全体にとって極めて不名誉なことです。

法人甲の丙銀行に対する債務と理事の関係

=法人の債務について、法人は有している財産を限度に弁済する義務があります。

法人甲が株式会社・社会福祉法人・NPO等の場合、法人の債務が株主・役員・理事に直接及ぶことは、原則としてありません。

しかし、法人甲の債務について保証人になっている者は、その債務について、保証債務を負うことになります。

 

 

【「イチ、ニ」のスキル】

福島大学人間発達文化学類教授白石豊さんのお話(題:仕事に活かすメンタルトレーニング ―コミュニケーションスキルと感情コントロール―)をお聞きする機会がありました。

今、コーチング技術の重要性が論議されていますが、「イチ、ニ」は、このコーチング技術の一つの良い例です。

白石教授の話の中に出てきた主な内容は次のとおりです。

 1 「人間の教育」と「動物の調教」

 (1)「教育」の本来的意味は、→人間の内にある素晴らしいものを、

内から外へ「引き出す」ことです。

 (2)「調教」は外から中へ詰め込むことですので、「教育」とは本来違います。

 (3)「コーチ」の語源は次とおりです。

    Kocus(コーチ)社製の馬車(16世紀)→御者→家庭教師→コーチ

 2 インストラクションからコーチングへ変化させる必要があります。

 (1)インストラクションとは、

    「ああいろ、こうしろ」、「ああするな、こうするな」の教え込みです。

    「教え込む」ためのやり方としては、→ 指示、命令、恫喝です。

 (2)コーチングとは、

    人やチームが最大の能力を発揮できるように支援するプロセスです。

    コミュニケーションの技術の一つです。

 3 コミュニケーションの技術(スキル)

 (1)教え込み型の指導例

     罵声    →     Why          →     命令        →否定命令

    (バカ野郎!→どうしてお前はだめなんだ!→いいか、こうやるんだぞ!→もういい、何もやんなくていいから!)

 (2)コーチが仕掛ける対話の基本型は疑問文です。疑問文には次の2つがあります。

     一般疑問文(クローズド・クエスチョン)

     4W1H(オープン・クエスチョン)

 (3)コミュニケーションの主なツールとして次の4つがあります。

    ・聞く ・質問する ・誉める(承認する) ・提案する

 

 ところで、白石教授は、コミュニケーションのツールの1つの「提案する」の例として、「イチ、ニ」のスキルを話しておられました。例えば、野球の守備が下手な選手に対し、キャッチボールを通じて集中力、正確性を向上させるコーチングです。

 キャッチボールをする際に、ボールが相手の手から離れる瞬間に、「イチ」と声を出させ、ボールが自分の手に入る瞬間に、「ニ」と声を出させるというものです。正確に、その瞬間に声を出させることによって、手を離れてから手に入る瞬間まで、ボールから目を離さなくなり、ミスが激減し、集中力、正確性が格段に向上するそうです。単純な提案ですが、非常に気が利いており、非常に効果が上がるであろうことは容易に想像できそうです。

 

「イチ、ニ」のスキルは、テニスやバレーボールにも応用できそうですが、事業の経営には応用できないでしょうか?これに代わるような経営上のスキルがたくさんあればいいのにな、と思うのは私だけでしょうか?

 

経営とは、理念や経営目標、経営戦略を、組織の構成員全員にいかにして共有させるか、ということに帰着するといえます。この点、白石教授のお話は非常に参考になるように思います。であれば、経営者が職員に接するにあたり、「イチ、ニ」のスキルをいくつ持って接することができるかは、経営目標等の非常に大きな達成要因になって来るように思います。また、接し方が、インストラクションになっていないだろうか?コーチングになっているだろうかの自己点検は非常に重要になってくるように思います。

 

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平成21年1月1日

事務所通信・増刊号

謹賀新年

昨年そして今年は、社会の全体と、その中身の多くのところで、

大きな変革の年になりそうです。

大きな波に飲み込まれますが、決して、翻弄されることなく、

前進していきたいものです。

今年も、よろしくお願いします。

 

【年末調整】

 昨年の年末調整事務は、大変ご苦労さまでした。一部の事業所で、やむを得ず、別途還付・徴収で行われましたが、ほとんどの事業所が最終支給連動で行うことが出来ました。事務の平準化を図るためにも、来年は、全ての事業所で、最終支給連動で年末調整事務を行えるようにしたいものです。

 年末調整に関連して、別添、「給与支払事務(源泉徴収事務)の留意点等について」と「給与支払事務(源泉徴収事務)のQ&A」を準備しましたので、参考にしてください。

 

【事務の平準化】

 事業体における総務と言われる業務には、年末調整事務のほか、決算事務、理事会の準備、行政監査の応対等、通常業務とは別の、時期的に事務量が偏った業務があります。このために、通常業務である本来業務が、手薄になり、支障をきたすことがあります。これが、事務の平準化の問題です。

 TKC給与システムの活用によって、12月の年末調整事務がほとんど解消できるように、決算事務、理事会の準備、行政監査の応対等も、これらの事務のほとんどを通常月の通常業務の中に織り込むことによって、時期的な事務量の偏りを解消できれば、結果として、通常業務・本来業務の充実が図れるのですから、日ごろから、是非、このことに配慮したいものです。

 

【元気手帳】

 “読むだけで元気になれる幸せへのパスポート”

元気手帳をお送りしますので、ご活用ください。

 

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